舞台は2001年9月11日のニューヨーク。いつものように点呼を取り、一日が始まったNYPD の警官達。そんな彼らを待ち受けていたのは、予想もしなかった同時多発テロ事件だった。


WTC1


ワールド・トレード・センターの2本のビルのうち、1本に飛行機が衝突したとの知らせを聞き、ジョン(ニコラス・ケイジ)は部下を引き連れ、救出隊を編成。南北2本のビルをつなぐ地下部分で行動中に突然ビルは崩落。

ジョンはとっさに機転を効かせ構造上もっとも強いと言われるエレベータ・ホールへと避難するが、一行は崩れ落ちた瓦礫の山に押しつぶされてしまう。


WTC2


体の一部を挟まれながらも生き残ったジョンとウィル(マイケル・ペーニャ)の二人は、気力を振り絞って救助を待つが、彼らは外で何が起こっているのかを知るすべもなかった。


WTC3


一方、ジョンの妻ドナ(マリア・ベロ)や、ウィルの身重の妻アリソン(マギー・ギレンホール)ら、警官達の家族は夫の安否を気遣いながらも、徐々に集まる悲観的な情報に身を硬くして行く。

また、ニュースで報道される悲惨な状況を聞き、海兵隊上がりのマイケル・シャノンは、ボランティアとして NYC へ行き
自分ができる最大限の努力を行おうと奮起するのだが…


WTC4


9月11日のテロを題材にした、事実を元にしたリアリティ指向のヒューマン・ドラマ。つい先日ポール・グリーングラス監督の「ユナイテッド 93 」が先に公開されたばかりですが、ドキュメンタリー・タッチだった「ユナイテッド」と比べ、こちらは嫌味にならない程度に映画的に再構成されていて、かなり対照的な仕上がりの違いを見せます。


WTC5


アンドレア・バーロフの脚本を演出したのはオリバー・ストーン監督。ストーン監督、と聞いただけでなんか暑苦しく無駄に大仰で重たい映画を想像しがちですが、どっこい"けれんみ"と真面目さが絶妙にバランスした、いい意味でひよった作風で非常に良かった気がします(米国の某評論家は「ストーン映画と言うより、ほどほどに出来たロン・ハワードの映画みたい」と評していましたが、まさしくそんな感じ)。


WTC6


途中、リドリー・スコット監督の「G.I.ジェーン 」への言及があったり一部に息が抜けるシーンもありますが、全編真面目で、やっぱりシリアス・タッチな編集。内省的な恨み節にならずに、人間性をクリアに描いた視点が良かったと思います。


WTC7


昨今「全米が泣いた」とか「感動大作」という言葉ほど胡散臭いキャッチはないですが、映画の中身はまさしくそう形容したくなるような真正面からのストレート勝負。63億円という中程度の製作規模が支える、本格的なテロ惨事のリクリエーション。予想外の方向性と出来に素直に感動した自分は大変満足して帰路についたのでした。


WTC8


邦題は「ワールド・トレード・センター」となり、この秋に公開だそうです。

IMDb: World Trade Center
Official Site: Paramount Pictures

WorldTradeCenter