小学生の DJ (ミッチェル・ムッソ)は、向かいの家が気になって仕方が無い。その家には気難しいことで有名な老人ネバークラッカー氏(スティーヴ・ブシェミ )が住んでおり、彼は長年敷地に舞い込んだ凧やボールを取りにくる子供達を追い返してきた。そんな中、DJ の両親は出張で家を空け、ベビーシッター(マギー・ギレンホール)が泊まりに来たある日、事件は起こる。
DJ の親友チャウダー(サム・ラーナー)が転がり込んだバスケット・ボールを取りに敷地に侵入。かんかんに起こったネバークラッカー氏は外へ飛び出してくるが、心臓発作を起こし倒れてしまう。しかし救急車が去った後、誰も居ないはずの家には明かりが灯り、煙突からは煙が立ち上っていた。ガールスカウトのクッキー売りでたまたま訪れたジェニー(スペンサー・ロック)と、チャウダー、そして DJ の三人組みは家の秘密を解き明かすために行動を共にするのだが…


MH4


91分の 3D アニメを演出するのは商用長編映画に初挑戦のギル・キーナン監督。しかし作品製作をドライブしてきたのはプロデューサとして名前が挙がっているスピルバーグとロバート・ゼメキスなんだとか。ゼメキスの前作「ポーラー・エクスプレス 」でも、彼は 3D アニメの技法的可能性を追求していましたが、今回もテクニカルにその延長線上にあるようで、モーション・キャプチャで芝居をつける手法にある種の連続性を強く感じます。


MH2


この作品、いま一つ米国での集客具合がよろしくないようですが、アニメーションの技巧は元より、脚本、演出、声の演技など、すべてが高水準でバランスしていて、自分個人的にはなかなか気に入っている作品だったりします。お金と予算の関係からなのか、大型 3D アニメの脚本はとかく予定調和的で安全圏に引きこもった保守的な作りが多いなか、発想が豊かでユニークな骨格に細部まで十分に練られて作りこまれた脚本は文句なしに素晴らしい出来。
また、声、と言えば、マギー・ギレンホールの無責任で表裏のはっきりしたティーン・エイジャーの演技がすばらしく、またキャスリーン・ターナーのドスの効いた演技も、なぜかエドワード・ノートンにも聞こえたスティーヴ・ブシェミなど皆さすがに巧い。あと「バス男 」や「恋人はゴースト 」のジョン・ヘダーもいつも通りの役柄で登場(←この2本、日本ではあまり売れなかった?)


MH1


自分が見たのは「REAL D」フォーマットの 3D 版で、使い捨て偏光サングラス代として150円ほど余計に入場料を取られました。この 3D 版、事前に流れる予告編から 3D になる力の入れよう(Dolby Digital のアイキャッチャーまで 3D 版)。冒頭の落ち葉のシーンで、あまりに強くかけすぎた立体感のためにガンガン頭痛が始まり「うわー、最後まで見られるかな?」と不安になりましたが、すぐに穏やかなエフェクトのかけ具合に落ち着き、終わって見れば3D 映像もいいもんだ、と思えた観劇になりました。


MH3


制作費75億の大型 3D アニメ、邦題はそのママ「モンスター・ハウス」となり、2007/正月第二弾の公開予定だそうです。


IMDb: Monster House
Official Site: Sony Pictures

Monster House