コロンビアの麻薬密売ルートを追う省庁統合チームの捜査は、内部に潜入した密偵者により大失敗に終わる。マイアミ沿岸から国内に運び込まれるドラッグに手を焼く FBI は地元警察の協力を仰ぐ。担当するのはクロケット(コリン・ファレル)とタブス(ジェイミー・フォックス)刑事の二人。クロケットは犯罪組織おかかえの美人会計士(コン・リー)でボスの愛人でもあるイザベラとの接触に成功するのだが...


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ご存知人気 TV シリーズ刑事ドラマ「マイアミ バイス 」のリメーク映画で、脚色と演出はクライム・アクションの大家マイケル・マン監督。そのマン監督の色が強くでた硬派なハードボイルド・アクションは「MTV コップ」の面影も、「80年代」のパステル調な色彩も無く、往年の番組ファンはちょっと肩透かし、一方マン監督のファンは十分納得、というリアクションが想像できます。


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スムースに運ばなかった 製作や何度となく行われた脚本のリライト、などと言うちょっと心配な噂も耳にしていたので、大丈夫かな、と心配気味の観劇だったのですが、冒頭のディスコのシーンで、ピリピリとした緊張感がファレルとフォックスの目の芝居で伝わる演出の上手さに、サスガ、と納得。この緊張感は一貫して最後まで持続。クロケットとイザベラとのロマンスも甘ったるい感傷ではなくつらく切なさが張り詰め、敵と退治し倒した後にも爽快感はなくむしろ空虚な空しさが漂う、というとってもストイックな作品でした。


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マイケル・マンは TV シリーズのエクゼクティブ・プロデューサで脚本も書いたりしているわけですが、あの当時を振り返ってあの当時の目線でカッコ良さを追求するのではなく、2006年の現時点でクールとは何か? と考察してみた結果、こうなったのかなぁ、とも思いました。某映画評論家からは「クール過ぎてクールではなくなりかけている」なんて辛らつな評をもらってましたが。


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中国訛りの強いコン・リー(鞏俐)の英語を聞いて「大丈夫かな?」と心配しましたが、ファレルと共に微妙な人間関係と感情の機微を良く演じていて、むしろオスカー俳優のフォックスの方がタイトな演出のせいで、なかなか芝居させてもらえていなかった印象。


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銃撃シーンや爆発シーンに、手垢のついた記号化したお約束の演出を拒むマン監督流のこだわりが見え、うんうん、と納得。原作 TV シリーズのファンはご立腹になるかもしれませんが、自分的には満足できた観劇になりました。← 80年代の郷愁を探すのならサンドラー&バリモアの「ウェディング・シンガー 」でもレンタルしたら、いいんではないかしらん?


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邦題は「マイアミ・バイス」となり、日本では 9 月に公開予定だそうです。


IMDb: Miami Vice
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