南ロサンジェルスで警備員を務めるO2(オーツゥー: タイリース・ギブソン)は、過去2度務所入りを食らったが、現在は大切な息子のために堅気に生きようと必死。時間を過ぎても交代が出勤せず、息子のジュニア(H. ハンター・ホール)を学校へ迎えに行かねばならなかったシングル・ファーザーの彼は、無断で着の身着のママ職場を抜け出す。なんとか時間ぎりぎりで車で息子を拾った彼だったが、信号待ち中に強盗に拳銃を突きつけられ、車を奪われてしまう。
車に乗ったママの息子を救おうと、思わず職場から持ち出し中の拳銃で犯人グループに反撃を加える彼。しかし息子はさらわれ、街を牛耳るマフィアの親分ミート(ザ・ゲーム)からは息子を返して欲しければすぐに1千万円を用意しろ、と脅される。保護観察中に職場から持ち出した銃を発砲した彼は、警察に相談することもできず、偶然事件の現場に居た女ココ(ミーガン・グッド)を巻き混んで息子を救出しようとあがくのだが…




あの迷作「グリッター きらめきの向こうに 」でマライア・キャリーのキャリアを潰しかけたヴォンディ・カーティス=ホール監督が、脚本と演出を担当した、アーバン・クライム・アクション・スリラー。脚本にはダリン・スコットの名前もクレジットされています。


主演のタイリース・ギブソンを始めて映画で見たのは、たしか「サウスセントラルLA 」(日本劇場未公開: 原題"Baby Boy" うーむ)だったと記憶。それがヴィン・ディーゼルが降板した穴を埋めて「ワイルド・スピードX2 」に出演し、「フライト・オブ・フェニックス 」ではやや出番が少なかったものの、「フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い 」で手堅い存在感を示し、「愛と青春の旅立ち」の現代風焼き直し(?)「Annapolis 」では鬼教官役を好演していました。男前のブラック・アクターで、きちんとした演技をこなせるいい役者さんだと思います。


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ヒロインのミーガン・グッド、日本では「ロール・バウンス 」でおなじみでしょうか。米国では、先日話題になった尖った学園サスペンス・インディ映画の「Brick 」や、ここでも紹介した「Venom 」などに出演しています。


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この他、冷酷無血のギャング役で、ヒップホップの大物「The Game」、ギャング団に片足を突っ込みつつも主人公を気遣う親戚のラッキー役で、「Ray/レイ 」や「クラッシュ 」にも出演しているラレンズ・テイト。


こうみると、見事に隅から隅まで黒人キャスト。美男・美女のブラック・アクターを主役ペアにし大物ミュージシャンがゲスト出演、とまぁこれは典型的な黒人観客に特化したオーディエンス・セグメンテーションなんでしょう。


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物語が始まるセットアップや、途中「俺たちに明日はない 」(原題"Bonnie and Clyde")をモチーフになぞった展開など、プロットのアイデアにはポテンシャルが十分あると感じたのですが、脚本の作りこみと練りが少し足りない感じ。絵で表現できていない事を、キャラクターの口から説明させちゃう箇所がちらほらあって、その辺は安易すぎるんではないかと。演技はそこそこコナれたレベルだったと思いますが。


米国配給元のユニバーサルは、この手の中規模 B 級アクションを作らせるとなかなか上手いので、かなり気負って観劇に望んだのですが、ちょっと期待しすぎたかもしれません。日本の映画館にはかからないかもしれませんが、まぁ特別シネマトグラフィーが良いわけでも、スペクテキュラな特撮があるわけでもないので、ビデオ待ちで十分かもしれません。


IMDb: Waist Deep
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Waist Deep