21世紀の終盤、研究施設から不慮の事故で流出したウィルスはたちまち全世界に広まった。感染後12年後に確実に死に至るものの、その間超人的な身体能力を発揮する感染者達はファージと呼ばれ、隔離・抹殺の対象となった。
そんなある日、政府高官ダクサス(ニック・チンランド)が率いる研究チームがファージ達を根絶やしにする根本的な解決策=秘密兵器を開発した。この最高機密をファージの地下組織が嗅ぎ付け、最強の殺し屋ヴァイオレット(ミラ・ジョヴォヴィッチ)を差し向けた。厳重な警備をかいくぐり彼女はなんとか任務に達成するのだが…


トーマス・クラウン・アフェアー 」の脚本でも有名なカート・ウィマーが脚本・演出を担当した近未来SFアクション/サスペンス映画。ウィルス感染者=ファージ、と書くとなんかそれっぽいですが、ぶっちゃけて言うと趣向を変えたヴァンパイア物なんでしょう。


主演はご存知ウクライナ出身の美女ミラ・ジョヴォヴィッチ嬢(IMDb にはミーラ・ヨヴォヴィッチと発音するとあります)。劇中、小宮山みたいなサングラスとヘソ出しファッションに目を奪われたせいか、実は最後までミラ嬢だと気づきませんでした(笑)。
この他、出演者は最終兵器こと9歳の男の子=シックスにキャメロン・ブライト(君、最近同じような役で映画に出過ぎ!)、"味方"の科学者役でウィリアム・フィクトナーなど。


配給元である Sony の意向もあってか、全編ハイデフィニッション(HD)撮影で CGI を乗せまくるというスタイルで製作されたんだそう。そのせいなのか(単なる気のせいなのか)、動きはなかなかいい感じである一方で、画面に艶が感じられず、フラットで奥行きが感じられないシネマトグラフィは、ちょっとガッカリ。
製作スタッフを眺めると、やたらと中国系の名前が多い。ロケ地も上海。察するに Screen Gems が、香港系の製作スタッフを使ってオフショア開発、お手軽に派手な SF アクションをお値打ちで作ろう、という企画なのではないかと(勝手に)推測。


確かにこれだけ派手なアクションを入れて、制作費は30億、は破格に安い。でも米国では興行的にコケまくって、結局 18 億強しか客が入らなかったので、ソロバン的には苦しそう。最近の目が肥えている観客には「安かろう悪かろう」では通用しない、という事なのか? う~む。


最初で見せ場を一気に作り、中盤にドラマを固めて、また終盤で動きを入れる、という緩急・メリハリのある脚本構成と演出・編集は良かったように思いました。


IMDb のユーザ・レーティングが 3.7 点 (10点満点)、という事実からも、あまり期待し過ぎると痛い目に会うのは必死でしょう。個人的にはこの手の荒唐無稽なアクションは嫌いではないのですが、一昔前の RPG のように前フリで説明される設定だけがやたらと雄大で本編はションボリ、というのは、正直どうかと思いましたです。

邦題は「ウルトラヴァイオレット」となり、6月24日より公開だそうです。日本では当たるかな?



IMDb: Ultraviolet
Official Site: Sony Pictures

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