時は2010年、所はパリ。スラム地区の犯罪の多発に手を焼いた政府は、行政区を壁で区切り、治安悪化地域の隔離分離を図った。その中でも最悪のブロックがB13 地区であり、学校、病院、そして警察ですら機能しなくなっていた。
そんなある日、フランス軍が開発した新型爆弾が暴漢の手によって略奪され、B13 地区へと持ち去られた。24 時間以内に解除コードを入力しなければ数百万人の命が奪われてしまう。
暴力が支配する無法地帯に潜入し目標を回収するという極限ミッションに任命されたのは、凄腕の潜入捜査官ダミアン(シリル・ラファエリ)。そしてガイド役として選ばれたのがB13 地区を知り尽くす地元民で、ワケ有りで投獄中だったレイト(ダヴィッド・ベル)。"ミッション・インポッシブル"に挑むペアは、個性の強さから早々にいがみ合うのだが…


原案・脚本がリュック・ベッソン(やっぱり)、演出は撮影畑出身のピエール・モレル監督で、企画発案から製作終了までわずか10ヶ月で製作されたという、予算17億円強と伝えられる肉体派フレンチ・アクション。


スタント出身の主人公二人がCGI なしで魅せる技の数々は流石の切れ味。ビルのベランダや階段、屋上をまるでジャングル・ジムのように飛び移る冒頭のシーンからスクリーンに目が釘付けになりました。


お話は例によってお馬鹿で矛盾もちらほら見えますが、適度なメッセージ性も求心力もちゃんとあって、ここ数年のベッソン作品の中では一・二の出来ではないでしょうか?


荒廃した未来、暴力が支配した街に己の肉体で生き残る、というと、なんとなく北斗の拳(ってか元ネタのマッド・マックスか?)っぽいですが、冷静に考えると元ネタはきっとスネークことカート・ラッセルが活躍する「エスケープ・フロム・xxx 」シリーズなのでしょう。脱線しますが、風の噂によると、NY編が大ヒットし続編のLA編 が製作されるにあたって、カート・ラッセルは「だって皆オレを見に来るんだからさ」と大幅な出演料アップでゴネて大変だったらしい。そんなこんなで、80年90年代を境に、製作会社側はフランチャイズ(続編)化を
見越して、第1作目を作る場合に「もし万が一ヒットして続編を作る場合になった時には出演料はxxx」という条件を付けて役者さんと契約するようになったらしい。(「スパイダーマン 」では、腰が痛いと我侭を言うトビー・マグワイアに対し「だったら2作目はジェイク・ギレンホールに変えるぞ」と SONY 側が脅したらしい。ま、雰囲気はなんとなく似てるっちゃ似てますが)


考えてみると、昔はヒットした1作目から続編を作る場合主役の役者を挿げ替える作品が多く見られました。でも最近は大体同じ役者さんが2作目、3作目にも出てくるのが普通になりました(最近、ヴィン・ディーゼル→アイス・キューブと変わった「xXx 」という例もありますけどね)


米国配給は弱小のマグノリア・ピクチャーで、公開スクリーン枚数もさほど多くなさそうだし、興行成績はちと苦戦しそうです。日本では邦題「アルティメット 」として、秋口に公開になるようですが、この手のすかっとする軽快アクションは最近あまり目にしないので、けっこうヒットするんじゃないかなぁ…

IMDb: Banlieue 13
Official Site: Magnolia Pictures

The District 13