カリフォルニア州立大学バークレー校に通うダン(スコット・メチョロウィック)は、世界クラスの体操選手で将来が有望視されていた。次期オリンピックに向けて調整に余念がない彼は、チーム・メイトもうらやむもどの才能に恵まれていた。学業成績も良く、クールなルックスの彼は学校中の女の子をひきつけており、何一つ困らない学園生活を送っていた。
一見幸せそうに見える彼だったが実は自分の心の底に小さな穴を感じており、ある寝付けない夜、偶然立ち寄ったガソリンスタンドで、初老の男(ニック・ノルティ)の不可解な言動になぜか心を惹かれてしまう。そんな彼は、不慮のバイク事故を起こし、右足を複雑骨折してしまうのだが…


ダン・ミルマンの自伝小説「癒しの旅―ピースフル・ウォリアー」をベースにして、ケヴィン・バーンハートが脚色し、なぜか「ジーパーズ・クリーパーズ 」シリーズのヴィクター・サルヴァ監督が演出した、哲学的スポーツ・ムービー。


出演者の中で一番のビック・ネームであるニック・ノルティですが、相変わらずの存在感で、良くも悪くも期待通りの演技。


眉毛が印象的な主役のスコット・メチョロウィック君、どこかで見たことあるなぁ、とずっと思っていたら、そうそう、「ユーロトリップ 」で友人、弟、元カノなどにイジメられまくっていた(役名)スコット君ではないですか。それほど売れている役者さんではないように思いますが、そう言えばもうすぐ日本公開になる「さよなら、僕らの夏 」(原題"Mean Creek")にも顔を出していました。


出演時間はあまり長くないヒロイン役のジョーイには、売れ方がイマイチ微妙なエイミー・スマート譲。最近はごく細い配給だった「Just Friends 」や「Bigger Than the Sky 」などの極弱小映画への出演が記憶に新しく先行きにやや不安を感じなくもないですが、自分のお気に入り映画「ラットレース 」や「バタフライ・エフェクト 」に出ていたせいか、以前からなんとなく応援している女優さんだったりします。


普通の青春スポーツ映画のようでいて、ちょっぴり哲学っぽかったりするのが本作の特徴。120 分、といささかゆったりした編集のわりには、ヒロインの描き方がえらく中途半端だったり脚本上の練りの足りなさが少し目に付きました。
配給は今やすっかりメジャー・マイナー(マイナー・メジャー)のライオンズ・ゲートですが、これがディズニーだったら PG-13 を無理やり PG にしてより低年齢層の間口を広げ、難しい精神論はきっぱり切って、単純明快さわやかな90分のスポーツ物に仕立ててるんだろうなぁ、なんて事を思ったり。


体操と言えば、「チアーズ! 」の脚本でメジャー入りしたジェシカ・ベンディンガー女史の初監督作品「Stick It 」が最近公開されたばかり。ちゃんとそれらしく見える役者さんを連れてくるのはひどく大変そうに思うのですが、その辺に無理を感じさせない所にハリウッドの役者の層の厚さがうがかえるような気がしました。


米国公開は明日から。日本で…劇場にかかるかな、コレ?


IMDb: Peaceful Warrior
Official Site: Lionsgate

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