舞台はFBIの取調室。ベガスを舞台にヤクザ同士が派手に打ち合った事件の真相を探る捜査官( ルーシー・リュー)の前に座るのは、華奢ながら芯の強そうな妙齢の美女ドミノ(キーラ・ナイトレイ)。彼女の口から語られる事件の真相とは…


というセットアップや、映画の背景(実在の賞金稼ぎドミノ・ハーヴェイを元にした創作映画。公開直前に彼女薬で中毒死)などは、日本公開も近いのでここではあえて省略。


最近特に力が入った熱い作品が目立つトニー・スコット監督の最新作で、出演者もミッキー・ローク(出番は少ない)、クリストファー・ウォーケン(さらに少ない)、ミーナ・スヴァーリ(もっと少ない)、デルロイ・リンドーなど、脇役まできっちり豪華。

というわけで期待度は高かったのですが、イマイチ観劇後の満足度という点で釈然としないモノも。50 億とも噂される制作費に対し、米国公開第1週で5億ちょっとの興行収入7位登場という事で、客の受けもイマイチだったよう。


というわけで、何が不満だったかを振り返ると、やたらと凝った、まるでミュージック・ビデオのようなビジュアル・スタイルに、時間軸をシャッフルして組み立てるフォーマット、と、プレゼンテーションがやたら凝っている割に、主人公ドミノの人間描写はあまり厚くなく、いま一つ感情移入できなかった点、なのかなぁ。やたら血しぶきが飛ぶ割には、人間に通う血が画面から感じられないっていう不満かも。


改めて考えてみると、トニー・スコットの演出する暴力性やクールさって、きっちり計算されつくされていて、その隙の無さに息苦しさがあるのかもしれない。計算された粗暴さって、粗暴じゃないわけで。


そんなこんなで、プレゼンテーションこそがすべて、のバイオレントでクールな映画になるはずが、そのプレゼンテーションの完成度の高さゆえにバイオレントでもクールでもなくなっている、というとっても不思議に逆説的な作品だよなぁ、と思いながら映画館を後にしたのでした。


邦題は「ドミノ」で、今週末から公開されるようです。日本での評判はいかに…


IMDb: Domino
Official Site: New Line Cinema

Dmonio