先日「The Memory of a Killer」 のコメント欄でいくつかベルギーについて質問や書き込みがあったので、まとめの意味でベルギーについての雑記を少し。


高校で履修した地理の記憶は遠く彼方へ消失し(K先生、すんません)、記憶の隅にかろうじて引っかかってるのはベネルクス三国(ベルギー+オランダ+ルクセンブルグ)というキーワードと、だいたいの場所 くらい。ふと考えてみると今の職場の上司は外国暮らしが長いとはいえ生粋のベルギー人だ。なので早速仕事の打ち合わせついでに、軽く質問をフッてみた:


「… ところで先日近所で'The Memory of a Killer'っていうベルギー映画を観たんだけど、知ってる?」

「僕は見てないけど、NYCで上映された時にはちょっとした話題になってたよ。確かベルギー本国で人気のTVドラマが原作だよね。主人公を演じた役者(ヤン・デクレイル))はベルギーで最高の役者の一人だよ」


「映画は奇妙な言葉しゃべってたけど、あれってベルギー語?」
「ベルギー語ってのは無いよ。フラマン語、これはほとんどオランダ語だけど、が50%、ワロン語=フランス語が50%で、ドイツとの国境付近にごくわずかにドイツ語圏がある。この3ヶ国語が公用語で、例えば法律は3ヶ国語併記で発効されるんだ」


「ベルギーの映画産業ってどうよ?近所のデンマークからはたびたびアメリカにも来るけど?」
「デンマークはドグマ運動とか活発だからね。ベルギーの映画産業はそれに比べるとずっと小さい。ただフランス語圏は隣接するフランスというずっと大きいマーケットを共有できるので、他と比べると盛んだ。フランス語圏のベルギー人で有名なのはカンヌにも行った「ロゼッタ 」のダルデンヌ兄弟、あとは「トト・ザ・ヒーロー 」や「八日目 」のジャコ・ヴァン・ドルマル。オランダ語圏からだと、「ウィンター・テイル 」のドミニク・デリュデレが有名かな。オランダ出身の映画人と言えば、「スピード 」のヤン・デ・ボンが有名だけど、そう言えば「killer 」もオランダ語だったでしょ?」


「いやー、何語かよく判らなかったんだけど。そういえばどっちの言語圏の出身なの?」
「聞いててわかんない?」


「全然」
「オランダ語だよ。アクセントでわかんないかなぁ?」


以上、自分と上司の会話を、記憶の欠落を想像と後追い WEB サーチで補いつつ超訳してみました。(恥ずかしいことに、ロゼッタは今の今までフランスを舞台にしたフランス映画だと思ってました)


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ベルギーの映画人と言って忘れてはならないのがジャン=クロード・ヴァン・ダム。確か最後に観たのはノック・オフ 」という香港映画(たしかこの映画の直後、コカインのオーバードーズで入院→リハビリだったはず)、かと思っていましたが、今調べてたら、悪い意味でまるで悪夢のようだった「ユニソル2 」をその後に見ている事が判明(深層心理で記憶から消したがっていたのかも?)


どうしても、 B 級映画に出続けた筋肉馬鹿、のような印象が強いのですが、たしか記憶によれば何が何でもハリウッド進出を希望する彼は悪徳プロデューサにひっかかり、極悪非道な契約書のせいで一番おいしい時期数年をまるまる棒に振った、というような話だったと思う。ちょっと可哀想な話ではあります。


先日某芸能雑誌の「あの人は今?」特集で取り上げられていたバンダム君、「ブリュッセルから来た筋肉、というあだ名はどう思う?」との問いに「ブリュッセルから来た馬鹿、と呼ばれるよりいいんじゃない?」と答えてました。なんだか、なぁ。


脱線ついでにもう一つ。昔仲がよかったフランス人によると、フランス人はフレンチ・ジョークに馬鹿を登場させる場合には、必ずベルギー人だという設定にするそうだ。そういえば、「奇人たちの晩餐会 」でも、とっさにサエナイおっさんをベルギー人だと嘘をつくシーンがある。場内のフランス人らしき観客はクスクス笑っていたけど、自分は「おっ、ギャグをちゃんと理解できてる」と、ちょっと嬉しいような自慢なようなくすぐりを覚えたのを、急にふと思い出しました。


以上、普段はまるで意識しないベルギーという国ですが、映画をネタに掘り下げていくと結構な量になりました。だらだら長くなったので今日はこの辺で。


Wikipedia: ベルギー


PS 日常生活でのベルギーとの唯一接点は、近所に出店がある高級チョコの GODIVA。日本語表記だとゴディバですが、アメリカ英語ではゴダイヴァと聞こえます。(歴史に出てくる馬に乗った裸の彼女はゴダイヴァ、と表記されている模様。靴の Nike はナイキだけど、ギリシャ彫刻の方はサモトラケのニケになるようなもんか?)。ちなみに上記の上司によると、「あんなの買うのは外国人だけ、うちらはもっと安くておいしい地元のブランドのを食うんだ」、だそうです。


VanDamme うーむ…