"ワースト"の定義って人によっていろいろあるわけで、「こんな下らない映画なのに皆が誉めるのはおかしい」と憤慨するパターンや、製作者の意図通りに作られてはいるが自分のツボにはまるでハマらず低評価になるパターンなどなど。

そんな中で、自分が「ワースト」と挙げたいのは、あまりにレベルが低すぎて笑いも怒りも生じずただひたすら呆れた「Starry Night 」(邦題「スターリー・ナイト 星月夜の調べ 」)という作品。


当時自分の住んでいた街のマイナーな映画祭に出品されてたまたま目にしたのですが、ストーリーラインの突拍子の無さ(現代のロス!?に画家ゴッホが生き返る)、演技のリアリティの無さ(中世オランダ生まれの主人公が終始怪しげなアクセントの英語を)、高校生の学園祭製作レベルの下手な演出+編集、と何をとってもダメダメ。極めつけは、エキストラを含め出演者全員がいかにも売れないハリウッド役者(志望)っぽくて、妙に芝居がかった嘘臭い半端な演技を続ける空気が硬いかたい。見ているだけで窒息しそう。


映画祭に来ていた脚本+演出のポール・エイヴィツ氏によれば、ユニバーサル・スタジオから空いてる機材を借りてのゲリラ撮影、というスティーブ・マーティンの「ビッグムービー 」顔負けの隙間製作だったらしいですが、低予算だからと言って駄作でしょうがない、とはやっぱり思えないわけで。


皆にこのダメさ加減をぜひ見て確認して欲しいのですが、残念なことに日本では劇場公開されておらず(WOWOWで放映されたとか)、日本語版DVD も未発売の様子。まともな映画を作るのって大変なんだなぁ、と改めてあたりまえを再認識できる本作品、IMDb のユーザ・レビューで「the perfect example of just how bad a movie can get...」とまでかかれた怪作、もしもごらんになる機会があったらぜひ。


いや、マジで一度これを観たら少々の駄作を見ても「金返せ」とは思えなくなります。


PS. amazon のユーザ・レビューに5点満点が二つも付いていますが、どうも関係者の自作自演っぽい気が…