異国の地で突然夫を失い、カイル(ジョディ・フォスター)は極度に落ち込みながらも遺体移送の手続きを済まし、埋葬のためベルリン→ニューヨーク便へと乗り込む。
娘のジュリアと共に座席に着き、離陸から数時間の間眠りに付いて目が覚めてみると、一緒に乗ったはずの娘が居ない。最新式の2階建て E-474 は迷路のように広く、客室キャビンを隅から隅まで探しても姿は見当たらない。エンジニアとして機体の設計にかかわり、航空機のすべてを知っている彼女は同乗した航空保安官カーソン(ピーター・サースガード)やキャプテン(ショーン・ビーン)に手助けを求める。400人強の乗客を全員座席に着かせてフライト・アテンダント全員による捜索にもかかわらず、娘の手がかりはない。
それどころか、アテンダントの一人ステファニー(ケイト・ビーハン)は、乗客名簿には娘の名前は無く、搭乗確認時にも姿を見た記憶はないと言い出すのだが…


ピーター・A・ダウリングとビリー・レイによる脚本を、ロベルト・シュヴェンケ監督(名カメラマンミハエル・バルハウスの息子)が演出した、航空サスペンス。出演はこの他に「トラフィック 」で薬にハマる良家の子女役でセンセーショナルなデビューを果たし「プール 」の偏執ストーカー役も記憶に新しいエリカ・クリステンセン(でも本作品は出番がイマイチ少ない)


とにかくよく出来た予告編(雰囲気を楽しみたい方はこちら をどうぞ)で、久々のジョディ女史主演作品という事もあり、すごく楽しみにしていた作品なのですが、どうも今一つ納得できない箇所も。

つい先日、お話も雰囲気もずっとB級ながらタイトなウェス・クレイヴン監督の演出が光った「Red Eye (感想記事)」で同じ飛行機物を観た後、という条件もあるし、終盤から急に話が俗っぽく普通のアクションになってしまうプロット展開の尻つぼみ具合に対する不満も。
カット・カットを絵的に見せるセンスは巧いロベルト監督ですが、話の流れを紡ぐ部分は少しぎこちない印象。93分と尺を詰めた編集のせいなのか、演出の力不足のせいなのか、それとも脚本上で文字で読めば
面白いが映像化はそもそも難しい話ということなのか…

最後まで見終わって「たぶん脚本だけ読むともっと面白い作品なんだろうなぁ」と思った、という事は、素材のポテンシャルがうまく映像化できていない、という事なのかもしれません。


と文句は言いたくなるものの、本編単体だけ切り離して考えると見所は沢山で、仕上がりもほどほどに悪くない。特に前半部分の文芸調心理スリラーは秀逸で見事。最近母娘物 の印象が強いジョディ・フォスターの演技を楽しめた、という点ではきっちり評価できた作品でした。


IMDb: Flightplan
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