ロシア系移民2世のユーリ(ニコラス・ケイジ)は、ひょんなきっかけで銃器の販売を始めたのだが、トントン拍子に商売は拡大し大成功。地元ニューヨークから世界的マーケットに進出した後、既存の大口ディーラ(イアン・ホルム)には冷たくあしらわれたり、代金の代わりに受け取ったコカインに弟(ジャレッド・レト)がハマりリハビリ病院に送るハメになったりした失敗もあったが成功は続き、金に飽かせて美しいモデル(ブリジット・モイナハン)と結婚。ソビエト崩壊後、分裂したウクライナから大量の軍備放出の商談をまとめユーリの人生は順風満帆に思えたのだが…


トゥルーマン・ショー 」の脚本でハリウッドに足がかりをしっかりつかみ「シモーヌ 」の興行的失敗でしばらくホサれていたアンドリュー・ニコールの脚本+演出・最新作。本作も彼の脚本+演出で、配給会社はインディー系のライオンズ・ゲート。
ばりばりの弱小マイナー映画なのかと思いきや、制作費50億、公開スクリーン数2800枚と、大型の興行で、公開初週に9億強の売り上げで全米3位の登場。


物語の中盤以降、狡猾に法律をかい潜る武器商人のニコラス・ケイジ対正義感に燃え世界平和のために違法な武器取引を取り締まろうとするインターポールのイーサン・ホーク、という図式が取られます。
終盤までドラマチックな盛り立てはせず、ニコラス・ケイジの淡々としたモノローグに乗りクールでニヒルに進む演出で、武器商人の話の割にはドンパチのアクションは少なく、ワル対デカのチェイシング・ストーリーの割にはスリリングさも無い。その辺りが一部評論家等に叩かれている原因なのかもしれませんが、個人的には、この洪水のような情報量と共に少しドキュメンタリー・チックに感情移入を拒む突き放したスタイルは嫌いではないです。


終盤、暴力的な独裁者に支配されたリベリアに舞台を移してからは運命や運や周辺や偶然に流され続けるユーリのニヒルさがより強調される本作品、最後テロップには実際のイベントを元にしていると出てきて、いろいろ考える所が多かった観劇でした。


画面にずらりと並ぶ共産圏製戦車や3000丁のカラシニコフは実在の武器商人から借りた本物だそう。万人向けのエンターテイメントではありませんが、武器に興味がある人もそうでない人も観て損はしない不思議なテイストの作品だと思いました。

IMDb: Lord of War
Official Site: Lions Gate Films

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