成功したビジネスマンで金はあるが子供と接する時間が少ない父親の元を離れ、オーウェンはバージニア州にある全寮制の私立高校に転校。素行不良で転校を繰り返していたイギリス人のオーウェンを待ち受けていたのは、特権階級の金持ち家庭出身の子女達で、入校早々閉鎖的な彼らの「受け入れ試験」とも言うべきゲームのクライ・ウルフに参加させられる。
運の要素を抜いたポーカー的心理ゲームでたちまち才能を発揮しリーダー格の女の子に気に入られるオーウェンは、一夜ですっかり仲間と打ち解けるのだが、やがて彼らは以前郊外で殺害された同級生をネタに、壮大な「連続殺人鬼=ウルフ」をでっち上げ、在校生を怖がらせるために嘘の噂を電子メールでばら撒く悪戯を考える。
噂はあっと言う間に校内に広がり、被害者の親の耳にも届いて警察沙汰になる程現実味を帯びるのだが、その後オーウェンの元に本物の殺人者からメールが届いてしまう。自分の犯行を騙ったイタズラに憤慨した犯人は、オーウェンらを噂どおりに一人ひとり惨殺すると予告するのだが…


人を騙すゲームに熱中した高校生が、無邪気に流した噂が本当になり恐怖に怯えるというストーリー。予告を見た時には「スクリーム 」系のスプラッシュ・ホラーを想像したのですが実際に観劇してみると青春系サイコ・ドラマという仕立て。ヘイデン・クリステンセンから毒気を抜いた雰囲気の主人公、シャーリーズ・セロンから華を引いた感じのヒロインを含め、役者は全員無名ですが、何故か歌手のジョン・ボン・ジョヴィ(しばらく前にちょい役でよく映画にカメオしてました)がちょい役で出演。


実験作品「The Tower of Babble 」が映画祭で賞を取り、ジェフ・ワドロゥ監督がその賞金(約1億円)で製作したという本作品、脚本は随所に凝った工夫があり見方を工夫すればなかなか見所も多いのですが、やっぱり見ごたえという点でいわゆるハリウッド映画としては少し物足りなさも。

脚本に散りばめられた新しい試みの数々はうなずける箇所も多いものの、演技や演出の厚さが薄く、実験作品としては成功、商業作品として破綻気味、と言い切っちゃうと少し乱暴で気が引けますが…


自分が行った回(平日7時)は、自分以外誰も居ない一人ぼっちの観劇で、あんまり売れてなさそうな印象を
持ったのですが、ボックス・オフィス・ランキング によると1800スクリーンで公開され全米5位、4.5億円の興行成績は良くも無く悪くもなく、という感じでしょうか。
いろいろ思う所はある作品ですが、改めて初代「スクリーム」の偉大さを再確認しつつ帰路についたのでした。


IMDb: Cry_Wolf
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Cry_Wlf