ニック・ネイラー(アーロン・エッカート)は、大手のタバコ会社によって設立されたPR会社のスポークスマン。社会の風潮である禁煙運動を尻目に、得意の演説で相手をやり込めタバコの認知度を上げるのが仕事だ。


TFS1


今日も TV のトークショーに出演し、癌の少年を目の前に「タバコ会社の目的は彼を殺す事ではなく、できる限り長生きしてもらって製品を買ってもらうこと。一方嫌煙の運動家達は彼に死んでもらった方が都合がいいのだ」などと言いくるめ、禁煙活動の急先鋒に立つバーモント州選出の上院議員(ウィリアム・H・メイシー)を怒らせる。


TFS2


強いストレスにさらされ、離婚し家庭も無くした彼の精神的なよりどころは、定期的に開く友人との夕食会。銃のスポークス・

マン(デヴィッド・コークナー)、酒のスポークスマン(マリア・ベロ)とで、Merchants Of Death = 死の商人の頭文字をもじって MOD スクワッドなどと自嘲していた。


TFS3


若く魅力的な雑誌の女性レポーター(ケイティ・ホームズ)と親しい仲になったりと身辺があわただしい彼だが、弁論では負けたことがない父親を英雄視する息子(キャメロン・ブライト)を引きつれ、彼の考案した新キャンペーン= 映画俳優に劇中でタバコを吸わせる、を推進するために、ハリウッドに飛びスーパー・エージェント(ロブ・ロウ )との会合に望むことになるのだが…


TFS4


クリストファー バックリー 原作の「ニコチン・ウォーズ」 を、ジェイソン・ライトマン監督が脚色と演出した予算6億5千万円のインディ映画。どれくらいインディか、と言うと、ロブ・ロウの拘束期間は1日、ウィリアム・H・メイシーにいたっては総撮影時間が1時間だったという噂まで。


キャスティングはなかなか強く、上記以外でもサム・エリオットやロバート・デュヴァルなどのビッグ・ネームが並びます(でもなんと言っても注目を集めるのはトム・クルーズの奥さんでしょうけど)MOD スクワッドの下りは、ちょっと古いTVシリーズ「モッズ特捜隊 」(原題 = MOD Squad) のもじりなのですが、ちょっと判りにくいかも?


原作にあるエピソードを無理を感じさせずスムースに流すジェイソン・ライトマン監督の腕前はなかなか。でもあんまりスムース

に流れすぎて、良い意味(悪い意味か?)でひっかかりに欠けるきらいもあったように感じました。シニカルでブラック、知的で刺激的だけど、最後に印象に残るものは多くない、というのは、まぁ今風でいいのかもしれません。

邦題は「サンキュー・スモーキング」となり日本では10月14日より公開になるようです。


thank_you_for_smoking


IMDb: Thank You for Smoking
Official Site: Fox Searchlight

TFS5