ロンドン在住のベテラン・レポーターのジョー・ストロンベル氏(イアン・マクシェーン)が他界。しかしやり手の彼は、三途の川を渡る途中でも死神に金を渡して便宜を図ってもらおうと試みたり、と生前通りのタフさを見せる。そんな彼が船に同席した女性から聞いた特ダネは、ロンドンを騒がせている「タロット・カード・キラー」の真犯人として、どうやらお金持ち一家の一人息子ピーター(ヒュー・ジャックマン)が怪しいという事。このネタをなんとか記事にするために船からそっと川へ飛び降り、現世の記者へとメッセージを伝えようとする。


一方、裕福な家庭の友達をたどってロンドンに滞在中の女子大生サンドラ(スカーレット・ヨハンソン)は、たまたま見に行ったマジックショーで、初老の手品師シド(ウディ・アレン)のマジックにボランティアとして客席から舞台の上に上がる。一瞬で部室が消えるという魔法の箱の中に入った彼女が目にしたのは、あの世からスクープのネタをもって現れたジョーの幽体だったのだが…


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ウディ・アレンが「マッチポイント 」に引き続き、ロンドン・ロケで映画を撮ったクライム・スリラーの要素もちょっぴり入ったコメディ・ロマンス。ロンドンのアメリカ人役で、ヨハンソンも前作から引き続き登場。

この他に気になった出演者として、主人子の友達役で一瞬だけ登場するロモーラ・ガライ。あいかわらずふくよかでチャーミングな彼女は、「ディケンズのニコラス・ニックルビー 」「I Capture the Castle (←もしかして日本未公開?)」や「ダンシング・ハバナ 」など過去出演作からファンだったりします。


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前作「マッチポイント」(日本公開は8月19日)の出来があまりに凄かったせいか、一方のこの作品はあまり評論家受けがよろしくないようですが、改めて振り返ってみると、ウディ流のアイロニーや、おかしみを踏襲しつつも、間口の広い軽めのコメディとして仕上がっていて、自分個人的にはまずまず気に入っています。


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口先だけ達者でまるで誠意が伝わってこない貧相なマジシャン、という役はさすがアレン、という出来ですが脚本上出番はあまり多くなく、一方ヒロインのスカーレット・ヨハンソンがウディが演じるキャラクターは彼の魅力を引き受け肩代わりする程は強くなかったかも? という気も。そういう意味でウディ・アレンのファンには少し物足りなさが残るのかもしれません。


しかし、この映画に出てくるヒュー・ジャックマンとヨハンソンというコンビが、そのまま予告編に出てくる"マジック"物の「The Prestige 」もちょうど予告編がかかっていて、なにかハリウッドが手品づいているような、そんな印象も受けたのでした。


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予算4億円の小規模映画で、ユニバーサルのインディ・ブランド、Focus 経由で配給中。全米550館弱の配給で、規模の割りにはまずまず人は入っているようです。恵比寿やシネスイッチ銀座でかかるような、おしゃれ要素はあんまりありませんが、軽目の良質コメディとして期待すれば面白く見られるのではないでしょうか?


IMDb: Scoop
Official Site: Universal

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