フィラデルフィアの郊外にある集合住宅で管理人を務めるクリーブランド(ポール・ジアマッティ)は、仕事にはやりがいを見出せず無気力にただ毎日をやり過ごす日々が続いていた。
そんなある日、夜中に共用の中庭プールで水しぶきの音を聞いた彼は、若者のイタズラかも?と犯人を取り締まるため人気の無いプールサイドへ。
しかし彼が遭遇したのは、人魚のようなナーフ(妖精)。ストーリーと名乗るそのナーフ(ブライス・ダラス・ハワード)を助けた彼は、伝え聞いた古い伝説と彼女の境遇が一致しているのに気づく。言い伝えを信じ、彼女が元居た世界ブルー・ワールドへと戻してやろうと考え始めるのだが...
M・ナイト・シャマラン監督のメジャー第5作品は、自分の娘達のために創作したベッドタイム・ストーリー
を題材にした、ちょっぴりスリラーも入ったミステリー・ファンタジー映画。
主演は「サイドウェイ 」での好演が記憶に新しいポール・ジアマッティ。第2候補としてケヴィン・コスナーの名前も挙がっていたようですが、今回のようにあえて影を薄くしてメディウムとして機能させた役作りを考えるに、ジアマッティで正解だったように思いました。
なんか設定がひどく微妙なヒロインには「ヴィレッジ 」にも出ていたブライス・ダラス・ハワード。「こんなすごい女優は見たことがない」というシャマラン監督の評はお世辞か何かと思っていたのですが、どうやら本気で入れ込んでいるみたい(「ヴィレッジ」での彼女の演技、そんなに良かったかしらん?)
過去に例が無いほど画面に出ずっぱりで、もはやカメオとは言いづらいほどの高い露出度だったシャマランや、キャピキャピ(死言?)の韓国系女子大生のシンディ・チャウ、など、いつもの彼の作品とは趣を変えたキャスティングですが、中でも異色だったのは、新たに引越してくるイヤミで辛らつな評論家役のボブ・バラバン。
そのバラバンが演じるベテラン映画評論家が劇中で語るには、全てのストーリーのバリエーションは既に語りつくされていて、どんな作品もその焼き直しに過ぎない、んだとか。
過去一貫して"物語"の意味をずっと追求してきた監督の作品だけに、そんなギミックを入れ込んだ映画を観た後に、「どんでん返しも仕掛けもなんにも無い、大人が楽しめる単純なベッド・タイム・ストーリー」という監督の説明を聞いても、やっぱり照れ隠しの嘘にしか聞こえないわけですが...
「シックス・センス 」、の興行的な大成功から、「アンブレイカブル 」、「サイン 」、そして「ヴィレッジ 」とずっと続いていたディズニー系配給ルートとの蜜月関係は、どうやら破綻したようで今回は WB からの配給。さすがに2~4作目はディズニーの思惑とは裏腹にどんどんマニアックに成り過ぎてマーケット的にオイシクなくなってきた、、という事なんでしょうか?
邦題は「レディ・イン・ザ・ウォーター」となって、今年の秋に公開予定だそうです。
IMDb: Lady in the Water
Official Site: Warner Bros.